2015年6月21日日曜日

第14回シマ学校「バンチのごちそう」を開催しました


かつてカツオ漁で栄えた池間島では、カツオ船やカツオ節工場で働く親たちが、製品にならない部位(頭、尻尾、心臓、卵など)を家庭に持ち帰り、炊いて乾燥させたり燻製にして保存していました。これらは、家庭の常備食となったほか、子ども達のオヤツでもあり、ごちそうでした。



今回のシマ学校では、そのような「バンチ(わたしたち)のごちそう」を、昔ながらの方法で作って再現してみようと開講しました。
講師は仲原ソヘ子さんです。

「カッチュヌカンマイ」(カツオの頭)と「ハラン」(カツオの卵・白子)の燻製のほか、アダンの実(の中身)を炊いたもの、ンーヌイ(芋を炊いてつぶしたもの)を作ります。


カツオの頭は斧で半分に割ってから


たっぷりのお湯で塩ゆでにします。
「目玉が飛び出すまで」ゆでるのが目安だそうです。


カツオの頭をゆでている間に、燻製のまきの準備をしますが、このとき燻製のチップとして使うのが、「アダン」の実なのです!
アダンの実が熟すと、外側の部分がぽろぽろと外れてきます。この分果(池間では「ツガキ」とよびます)をよく乾燥させたものを、まきの上に投入すると、ほんのりと甘い香りがする煙がもくもくと上がってきました。


煙が上がってきたところに、塩ゆでしたカツオの頭を並べていぶしていきます。
煙が充満するように鍋のふたなどで覆うこともありますが、網の上にカツオをならべてそのままいぶすだけでも良いそうです。


火が大きくならないように注意しながら、煙でいぶすこと約20分。
ツヤが出て、あめ色になってきました。脂がジュージューと音をたてて、とても芳しい香りがしてきます。
アダンのツガキを燃料として作る燻製、お話には聞いていましたが、実際に作ってみるととても良い香りです。


こちらは、カツオの卵。池間では「ハラン」と呼んでいます。
このハランも、塩ゆでしてから燻製して保存しているものを、丸ごと1本子どもたちのオヤツにしていたというから驚きです。
「子どもの頃は、これ1本とおイモを両方の手に持って、海に行っていたよ」というお話を何人もの方から聞きました。


カツオを燻製にしている間、こちらではアダンの実の中身(池間では「バス」と呼んでいる部分)の料理が進められていました。
アダンの実を食べるという話は、宮古島本島でもあまり聞きません。そのアダンの実(ツガキを外した中の部分)を、池間では昔から炊いて食べたり、子どもたちがオヤツとして生で食べて甘みを楽しんでいたのだそうです。


アダンの実は、一度ゆでてからかつおぶしとあわせて炊いてみました。ナンク(かぼちゃ)のような、長芋のような、タケノコのような食感で、「アダン」と言われなければ何かの野菜だと思うほど。
参加した子どもたちからも、「美味しい!!」と大好評でした。


こちらでは、炊いた芋をつぶしたり、保存食として薄く切って乾燥させた芋「スゥズンー」をつかった「ンーヌイ」を作っています。
ンーヌイも、家庭によって作り方は様々。黒アズキを入れたり、もちきびや炊いた米を入れたりします。


出来上がった燻製と、アダンの炊いたもの、ンーヌイを囲んで、全員で試食してみました。
アダンの実でいぶしたカツオの頭やハランの燻製は、誰もがかつて作って食べていた経験があるため、当時の話題や思いで話が尽きることがありません。はじめて食べる子どもたちにも大人気でした。
池間島らしい、島ならではの体験としてとても好評だったので、民泊の体験プログラムや特別なメニューなどにも生かしていきたいと思います。

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